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2015年 12月 01日
先日、軽井沢のI君から、所用があり行けないので、よかったらどうぞ、と地歌筝曲の福田栄香さんの公演のチケットが送られて来た。(I君のお父様の草花の絵を栄香さんの公演のパンフレット等に使っていただいてるご縁だという) 丁度、仕事の佳境で、少し考えたが、こうした誘いでもなければ日本の伝統芸能の地歌筝曲の会に行くことなど無いだろうし、これは神様がお前に行け!と言ってるのだ、またこんなデタラメはこれまで何度もやってきたじゃないかと思い、落語会の「江戸幸」を主宰する親友のHさんを誘って聴きに行った。(Hさんもその日は仕事で、公演を聴き終わった後二人共仕事場に引き返した) こうした少し慌ただしい楽屋裏にも関わらず、公演を聴きながらいろんな思いが湧き、よかった。 私は福田栄香さんのことも地歌筝曲のことも知らずにぶっつけ本番で聴いたが、たぶんそれがよかったのだろう、純粋に音楽として聴いた。(で、なければ、あんな美人の歌声と演奏を先入観無しに聴くことなどできなかったろう) 栄香さんの声は響きが良く、よく通る声で、前から2列目で聴いたので、三絃も声もそのままで聴けた。 最初は「蘭の香」を一人で演った。ほどなくして三絃と声のゆったりしたテンポと微妙なズレが不思議な空間を生み出し、日本特有の香りを放ち始める。ノリの良い最近のポップスばかり聴いてる耳には、この音楽は悠長過ぎてついて行けないだろうが、私のようなワールドミュージック好きには、この空間は日本独特で心地良い。 次の「三津山」は箏と笛も加わり三人で演ったが、これが凄くよかった。さきほど言った三絃と声のゆったりしたテンポと微妙なズレは箏と笛でさらに増幅される。しかも長尺物の物語で序破急の変化に富んだテンポがあり、とてもダイナミックだ。途中で三絃と声と箏がノリノリになる部分はスリリングなジャズを聴いてるようだ。その間も笛は悠然と自分の間合いで吹き続け、ズレはますます大きくなって行く。そしてエルヴィンの叩くポリリズムのような複雑で濃密な空間が現れる。間の力が生み出す芸術としか言いようが無い。私は冨田勲の名曲「新日本紀行」のテーマをいつの間にか思い出していた。 最後の「根曵きの松」は箏と尺八が加わり再び三人で演った。流派の異なる演者同士の、いわば他流試合のような演奏らしいが、初めて聴く耳にはそうした切迫感よりも、破綻の無い、よくできたジャズのインタープレイのように聴こえる。ここにもゆるやかなテンポと微妙なズレのつくりだす空間があり、私にはそれがとてもおもしろかった。 会はこうして華やかなうちに終わった。 日本の伝統文化、能や狂言、歌舞伎、落語、茶道、華道、相撲、柔道、絵画、庭園、建築、すべてに言えることは、間だ。その間がつくる時間と空間が日本だと言っても過言ではない。 もちろん、こうした間の文化は他の国にもあり、私たちは時々それを旅先で感じる。(私が仕事で行くフィリピンでも時々感じる) そして共通するものや普遍的なものを見つけてはおもしろいなといつも思う。 そうしたものを栄香さんの地歌筝曲の中にも感じた。 また聴きたい。 かずま
by odyssey-of-iska
| 2015-12-01 21:25
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